2025 AUTOBACS SUPER GT Rd2 Fuji

Yuki Nemoto
AUTOBACS SUPER GT
Rd2 Fuji Race Report

■Introduction

 5月3日(土)〜4日(日)、根本悠生が今季参戦する「オートバックス・スーパーGT 2025」第2戦が、静岡県・富士スピードウェイにて開催された。

予選・決勝ともにさわやかな晴天に恵まれ、今シーズン初となる3時間レースが行われた。例年は暑さとの戦いとなるゴールデンウィークの富士だが、今年は夕方にかけて気温が下がる展開に。これによりタイヤが適正温度を外れ、ペースを上げられない場面もあった。加えてトラブルや接触の影響もあり、31号車 apr LC500h GTにとっては厳しい一戦となった。

昨年に続き3時間レースとなった本大会には、根本が第3ドライバーとして出場。レギュラードライバーの小山美姫選手、オリバー・ラズムッセン選手と共に週末を戦った。

■Qualify:15th

 現地時間5月3日(土)14時、気温19℃、路面温度31℃という、過ごしやすい晴天の中、決勝のスターティンググリッドを決める予選が行われた。

 31号車はQ1・B組に出走し、小山がステアリングを握ってQ2進出を目指す。今大会のQ1B組は”魔のグループ”と呼ばれるほど選手権の上位チームが終結しており、Q2への生き残りをかけて厳しい戦いとなることが予想された。

練習走行では3月に開催されたGTEテスト走行、そして開幕戦で培ったベースセットアップの調整から入り、順調な走り出しをみせる。なにより前大会ではハイブリッド関係のトラブルにより大きく走行時間を失ってしまったという事例があったため、多くの走行時間を確保できたのは非常に有意義なテスト走行となった。今週末の天候や路面コンディションに合わせたセットアップを進めるとともに、今回が復帰レースとなったラズムッセンの走り込みも併せて実施。ロングランでの走行に注力し、レースでの好結果を目指す。

小山選手が担当したQ1では、路面温度は31度と適切な温度域にいたものの、気温が若干低く、タイヤのウォームアップに多少苦戦した模様。それでも基準タイムを0.1秒上回り、無事Q2を担当するラズムッセンへとタスキをつないだ。

 Q2では上位を目指すには根本を投入するという案もあったが、これまで限られた数のみニュータイヤを履くことのできていないラズムッセンの経験不足を補う目的と、実際のレーススティントに向け更に準備を積み重ねるという観点から金曽監督はラズムッセンを送り出すことに。これに対しタイヤの限界を引き出すのに苦労する様子をみせたものの、ラズムッセンは順調な走りを見せ1分36秒562を記録、15番手を獲得した。

■Race:19th

 予選とほぼかわらない安定したコンディションとなった決勝日。気温24度、路面温度40度という理想的なコンディションの中、午後1時30分に今シーズン初となる3時間レースが始まった。31号車 apr LC500h GTはこれまでタイヤ無交換作戦と幾度となく敢行してきたが、今大会ではタイヤのグリップを最大限使い切り上位進出を目指す2回交換作戦を採択し長丁場のレースに挑む。

 スタートドライバーは小山選手。予選順位を維持したままオープニングラップを終え、1分39秒台の安定した走りを続けるが、前車を抜くまでには至らず。金曽監督はFCYやSCが少ない展開を踏まえ、予定より早い28周目でのピットインを決断。第2スティントはラズムッセンが担当する。

 しかしこのラズムッセンへの交代時にトラブルが発生。ピットアウト時の操作手順の認識に誤りがあり、ハイブリッドがセーフモードへと移行してしまったのだ。これによりハイブリッド機能を使用することができず、ラズムッセンはタイムを伸ばすことができず。またラズムッセンはこれが初めてのレースということもあり、ハイブリッドがセーフモードに入っていることにも気づくことができなかった。ピットウォールでは思うようにペースの伸びないラズムッセンの走りを観察しつつも、トラブルの様子を見抜くことができず、予定していたスティントを走り切った。なおLC500h GTに搭載されているハイブリッドシステムはこういったイレギュラー時にはハイブリッドモードがオフのままでも走ることができ、リタイヤを選択せずに済んだことは不幸中の幸いだったのかもしれない。

 予定周回数を走破したオリバーは65周目にピットイン。最終スティントは根本が担当する。根本は今回本スティントのために戦略的に残しておいた新品タイヤを履きコースに復帰すると、念入りなウォームアップの甲斐もありすぐにペースアップ。しかし期待していたタイムには及ばない。ここで根本が車内でハイブリッドシステムの不具合を確認し、オフハイブリッドの状態でのレースとなっていることを確認した。ハイブリッドパワーの恩恵がない厳しい戦いを強いられることとなった根本は懸命な走りを続けたが、85周目に後方から追い上げを見せていた#96号車との激しいバトルの末、最終コーナーで走行ラインが交錯してしまい、接触。ダメージは最小限に抑えられたものの、この接触によりドライブスルー・ペナルティを課せられることとなってしまう。

 翌週、根本はすぐにドライブスルーを消化すべくピットへ向かうが、ここでチームよりピットボックス前に停車し、安全のためハイブリッドシステムの再起動の指示を受ける。指示通り再起動を終えコースに復帰した根本だったが、この停車がドライブスルーの消化として認められず、当該周に改めてピットスルーを実施しレースへと復帰した。

 ハイブリッドシステムの再起動を経て、通常通りのパワーを取り戻した31号車。これによりタイムも想定内のところまで取り戻したものの、上位勢のペースには及ばない。実は今回我々が持ち込んでいたブリヂストンタイヤは、より路面・気温共に高いコンディションでその真価を発揮するタイヤだったのだ。走り出しの路面温度40度前後ではタイヤのグリップも機能していることが確認されたものの、レース終盤は30度を下回るコンディションに。また気温も低く、ここ富士特有の長いストレートによってタイヤが冷却され、本来のパフォーマンスを引き出せずにいたのだ。これにより根本が想定以上に低いグリップに悩まされつつ、40周を超えるロングスティントを戦った。

最終的にはコース上でのオーバーテイクも何度かみせたものの、19位で第2戦を終えた。

■根本コメント:

「今回は本当に厳しいレースでした。自分のスティントに入った時点で、新品タイヤも残っていて、条件としては悪くなかったんですが、走り始めてすぐにパワー/トルク不足と感じていました。その後チームとのコミュニケーションを進めるうちに、ハイブリッドがセーフモードに移行してしまっていることに気付きました」

「その状態でもなんとか粘っていたんですが、自分のスティント中盤でオーバーテイクを仕掛けてきた96号車とのバトルの際の接触に対してペナルティを受けました。もちろん、どの場面も自分自身に改善の余地があると感じていますし、なにより“こういう状況でどう動くべきか”という判断の部分がまだまだ甘いと痛感しました。」

「それでもレース後半にようやくハイブリッドが復帰してからは、自分なりにクルマの持つポテンシャルは最大限発揮できたと思いますし、オーバーテイクもいくつか決めることができたのは少しだけ救いでした。とはいえ、本来LCが位置すべき上位のポジションで戦うことができなかったことは、期待のかかるレースだっただけに、やはり悔しさの残るレースとなりました」

「今シーズン初の3時間レース、そしてタイヤ選択含めて非常に戦略性の高い富士のラウンドで、思うように結果を出せなかったのは本当に残念ですが、その中でもチームとして得たデータや、自分自身が感じたことは大きな収穫でした」

「次戦は、ついにGTとしては久々のセパン。とにかく暑い、そして難しいサーキットですが、LCにとって相性の悪くないサーキットになると思ってます。今回の反省をしっかり持ち帰って、また一段階成長した姿を見せられるように準備していきます。次戦はよりスムーズで一貫性のある週末を迎えられるよう、事前準備を徹底し、apr LC500h GT初の勝利に向けてチームとともに全力で挑んでいきます」

▼来場者数公式発表
大会総入場者数 82,500人

◆REPORT PDF
Borderless:準備中
SuperGT:【第2戦 富士:決勝日】GT300レビュー:予選27位からの猛追撃!諦めない走りがUNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIに劇的な初優勝をもたらす

◆Photo Gallery
https://www.yukinemoto.com/gallery/2025-sgt-rd2/
All shots by @kakophotography

本件に関するお問い合わせはinfo@borderless-motorsports.comまで

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