AUTOBACS SUPER GT Rd4 Fuji

Yuki Nemoto
AUTOBACS SUPER GT
Rd4 Fuji Race Report

■Introduction

 8/5(土)〜8/6(日)に根本が今年スポット参戦するオートバックス・スーパーGT 2023の4戦が、静岡に位置する富士スピードウェイにて開催された。

第2戦富士では予選で2番手を獲得し、決勝では一年半ぶりとなるポイント獲得を実現。続く鈴鹿戦ではタイヤマーキングのミスにより順位を上げ切ることができなかったものの、堅実な走りを見せたapr 31号車。今大会に大きな期待がかかる。

今大会はシーズン3回目の450kmロングレースとなり、レギュラードライバーの嵯峨宏紀/小高一斗に加え根本を加えた3名で戦う。

■Qualify:Q1-4th Q2-3rd→DSQ

 現地時間5日15時38分、決勝のスターティンググリッドを決する公式予選が行われた。スーパーGTでは参戦台数が多いことからグループA・グループBに分けられた上で予選1回目、Q1を実施。それぞれのグループの各上位8台が、決勝のスターティンググリッドを決めるQ2へ進出しポールポジションを争うレギュレーションとなっている。今大会では練習走行での車両の仕上がりやタイヤの状況を考慮し、Q1を根本で突破、そしてQ2で小高を投入し、可能な限り上位のスタートポジションを獲得することを目標に戦った。

 なお、今大会では今季より開発が続けられている合成燃料(CNF)ではなく、従来からのハイオクガソリンが使用されていることをここで記しておく。

 今季これまでの予選では、タイヤのセット数管理やマーキングミスなどにより、予定していたコンパウンドのタイヤを肝心の予選で使用できないというミスが発生していた。今大会では、そういったミスが発生しないよう入念なオペレーションの確認を済ませ、Q1及びQ2にてハードタイヤを投入できるよう重ねて確認が行われた。また今大会では練習走行にて新品タイヤをトライすることができ、予選に向けたウォームアップ性能やグリップ感の確認を行うことができた。

 早速走行開始からウォームアップを開始。これまでの予選ではタイヤからのフィードバックを感じながらアタックに入っていたが、今大会では同じブリヂストンタイヤを履く諸先輩方のラップタイムやウォームアップを参考にしつつ入念に時間を使いながら走行。まだ多少前後タイヤのウォームアップタイミングを満足いくレベルで合わせることは難しかったものの、これまで以上に新品タイヤならではのグリップ感を引き出すことに成功。Q1Bで4番手となる1分37秒551を記録し無事Q2へとコマを進めた。

 ポールポジション獲得に向けピットガレージを飛び出した小高選手。通常ブリヂストンタイヤは予選一発の速さよりはレースディスタンスでの安定した速さに定評があるが、それに加えて今大会は他メーカーの新品タイヤの予選ポテンシャルが高く、練習走行の段階から予選では厳しい戦いが予想されていた。そんな中でも小高選手は素晴らしいアタックを見せ、1分36秒775を記録し全体3番手につけた。

 悲願の優勝へ一歩近づいたかと喜んだのもつかの間、予選日である5日19時35分に発行された公式通知No.29にて、衝撃の事実が公表されることになる。「2023 SUPER GT Sporting Regulations」第20条10.に基づき公式予選後に実施された車両検査にて、31号車に使用されていた燃料が主催者より指定されていた富士スピードウェイ内のガソリンスタンドのものではなく、前戦鈴鹿のものが使用されていることが判明したのだ。

 予選に向けた給油作業の際の指定ガソリンの確認不足であり、走行パフォーマンスに何ら影響のないものではあるものの、レギュレーションに違反している行為であることは間違いなく、チームはこの裁定を受け入れ、最後尾スタートが確定した。

■Race:5th

 前大会に引き続き450kmというロングレースとなった今大会。第3戦での大クラッシュでの赤旗終了時のペナルティに関する混乱を受け、いくつかのルールが改正された。これについては、オートスポーツウェブ様が詳しくまとめてくださっているので、こちらを是非ご覧いただきたい。

▼スーパーGTのスポーティングレギュレーション改訂。赤旗終了時のピットイン義務づけ等に対し明文化
https://www.as-web.jp/supergt/963027

 快晴に恵まれた土曜日とは打って変わって、決勝直前になって雨に降られウェットスタートとなった第4戦。気温26℃、路面温度31℃というコンディションの中、安全のためセーフティーカーによる先導が2周行われたあと、グリーンフラッグが振られレースがスタートとなった。雨スタートとなったものの、やはり予選で3番手を獲得している速さのあるLC500h。小高選手のスピードもあり、最後尾から次々とオーバーテイクを決めていく。雨がやみ、路面が乾いてきた9周目にピットイン。ベストタイミング、メカニックの迅速な作業もあいまって、ここで一気に15番手まで順位を上げることに成功する。そこから1分39秒台を刻みながら順調にレースを進めていく。

 GT300先頭が33周目に入ったタイミングで、No.244 HACHI-ICHI GR Supra GT(佐藤公哉)にマシントラブルがあったのか、パナソニック(最終)コーナーでエキゾーストパイプが外れて、車両火災が発生。25号車はTGRコーナー立ち上がりで車両を止め、FROや富士のオフィシャルらが消火作業に入ったため、このレースで2度目のセーフティカーランとなった。

 リスタート後も小高は順調に走行を重ね、51周目、GT300の4番手までポジションアップしたところでピットインを敢行。ここまで良いレース運びを見せていたaprだが、またしてもピットストップでの作業ミスが発生。左リアのタイヤ交換の際にナットが外れてしまった。ピットボックス内まで転がっていってしまったナット。スーパーGTではピット作業に人数制限があるため、他のメカニックが取りに行くことも叶わず、大幅にタイムロス。他のチームと比較して約15秒程度遅れてしまうこととなった。

 バトンを受け取った根本は鈴鹿戦での課題であったアウトラップ時のウォームアップに注力。その結果、計測2周目には1分39秒台を刻み始め、安定した周回を刻み失ったポジションを戻していくべく快走を続けた。そしてレースは終盤となった62周目、今度はNo.25 HOPPY Schatz GR Supra GT(菅波冬悟/野中誠太)に車両火災が発生し、13コーナーアウト側に停止。タイヤバリア付近に燃えた車両が停車してしまったこと、そしてピットストップ時に満タン給油した直後の火災ということもあり、鎮火に時間がかかってしまうことから赤旗が掲示された。

 この赤旗中に、なんとスコールのような強い雨がコースに降り始める。安全のため、本来は赤旗中の車両には作業ができないが、今回はレインタイヤへの交換が可能となり、各チームはタイヤを交換して、レースは午後4時30分に再開された。根本はこれが初めてのレインタイヤでのロングランとなる。

 スコールのような雨が落ち着き、小雨へ、そして曇りへと目まぐるしく変化していく天候の中で、レース再開時に向け入念に熱入れを行った根本はリスタート後も勢いよくオーバーテイクを開始。ついに表彰台争いを展開するところまでやってきた。

 後半にかけて路面が乾き始めたあたりで、レインタイヤでの経験不足が露呈してしまうことになる。レインタイヤでの13周目、ラップタイムを2秒以上落としてしまった。リアタイヤのオーバーヒートか、急激なグリップ低下に対応しきれず、たまらず81周目にピットイン。まだダンプ状態のコンディションだったが、傷が広がってしまう前にドライタイヤで攻める賭けに出た。

 最終的にはこれが好判断となり、一度失った順位を取り戻すことに成功。チェッカー後の他車へのペナルティを受け、最終的に今季最上位の5位でレースを終えた。

■根本コメント:

「まず初めに今大会も第3ドライバーとして起用して頂き、予選そしてレースでも使って頂きましたaprへ感謝致します」

「練習走行で新品タイヤを履かせていただいたことで、実際の予選に向けてかなり知見を高めることができました。我々はQ1B組だったので、先に走行したQ1A組のブリヂストンタイヤ陣のウォームアップの様子を観察し、諸先輩方の走りをなるべく参考にしながら自身の予選に挑みました。まだまだ至らない部分もあるものの、Q1通過という仕事をしっかり遂行することができ良かったと思います」

「決勝では刻一刻と変化するコンディションの中で、成功と失敗を繰り返す忙しいスティントになりました。特にウェットタイヤでのロングランは経験が無く、かなりタイヤへの入力を高めにしながらウォームアップ、序盤からガンガン攻めていったのですが、13周目を境にリアタイヤのグリップを一気に失う原因となってしまいました。ドライタイヤへ切り替えた際に取り戻せたので良かったのですが、ここでペースを落とさなければもう一つ、もう二つ前でフィニッシュできていたと思うと悔しい気持ちがぬぐい切れません」

「言及しないわけにはいかないとは思いますが、燃料の管理ミス、そしてタイヤ交換時のミスなど、まだまだ我々チームとして至らない部分があります。スポンサーの皆様や応援して下さっているファンの皆様には残念な気持ちにさせてしまい申し訳ないです。表彰台獲得、そして優勝までの道のりは近いようで遠いです。簡単に勝たせてもらえるほどSUPERGTは甘くないので、次戦以降も更に気を引き締めて頑張ります。引き続き応援のほど宜しくお願い致します」

▼来場者数公式発表(決勝日14:30時点)
8月5日(土)20,200人(晴)
8月6日(日)30,200人(雨)
大会総入場者数 50,400人

◆REPORT PDF
Borderless:準備中
SuperGT:https://supergt.net/news/single/22741

◆Photo Gallery
https://www.yukinemoto.com/gallery/2023-sgt-rd4/
All shots by @kakophotography

本件に関するお問い合わせはinfo@borderless-motorsports.comまで

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