Campionato Italiano Gran Turismo Endurance Rd.3 Vallelunga

Yuki Nemoto
Campionato Italiano Gran Turismo Endurance
Rd3 Vallelunga Race Report

Photo by Kakophotography

■Introduction

 9月16~18日、イタリア GT 選手権・エンデュランスカップ(CIGTE)の 2022 年シーズン第3戦ヴァレルンガが、イタリアのローマにほど近いヴァレルンガ・サーキットで開催された。

 前大会では+15秒のサクセスハンディキャップをものともしない快走を見せ優勝。優勝と2位を兄弟車の63号車と分けあう形となり、チャンピオンシップポイントでは同率一位で今大会を迎えることとなった。イタリアGTでは全4戦のうち3戦の合計ポイントにてシリーズチャンピオンを決定するシステムとなっており、重たいサクセスハンディキャップを課されている今大会は優勝のチャンスがあれば当然狙いにいくものの、戦略としてはサクセスハンディキャップを減らすことのできる4位を目指して戦うこととなった。

 ヴァレルンガ・サーキットは根本が欧州で2016年に初めてレースを戦った地であり、その後2020年にはイタリアGTスプリントカップのチャンピオン獲得を決めたゆかりの地。またランボルギーニによる非公式テストもここヴァレルンガで開催されることが多く、根本にとってはイタリアでのホームコースとも呼べるサーキットだ。

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■Qualify:3rd

 現地時間17日15時00分、気温19度、路面温度35度と比較的涼しめなコンディションの中、決勝のスターティンググリッドを決する公式予選が行われた。イタリアGTエンデュランスカップでは3名のドライバーがそれぞれアタックし、3名の記録したベストタイムの合計で決勝のスターティンググリッドが決定される。

 根本はQ2を担当。今大会は事前ミーティングで既に4位を目指すことに全員が合意し、モンツァ戦へ向け新品タイヤ1セットを残しておく戦略を取ったことから、予選では新品タイヤを1セットのみ投入。これをQ1を担当したベレッタ選手が使用し、根本とリベラティ選手はムジェロ戦の予選で使用した中古タイヤで戦うこととなった。

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 他サーキットで使用したタイヤで予選アタックをこなすのは実はそう簡単ではない。特にムジェロは中高速コーナーの連続で、タイヤへの負担が今年のカレンダーの中で一番大きいのだ。異なるセットアップで使用したタイヤでいきなり予選アタックに入るのは非常にリスクのある挑戦だったが、ビンチェンツォ監督の戦略に則り可能な限りのラップタイムを引き出すのが根本に課せられた大仕事であった。

 高い順応性が武器の一つである根本だが、それでも序盤は苦戦することとなる。タイヤを適切な動作温度でキープするのに時間がかかったほか、

ここヴァレルンガ・サーキットの路面とタイヤがマッチするまでは思うようなアタックができず下位に沈む。しかしファイナルラップへ上手く照準を合わせ、それまでのタイムを大きく上回る1分32秒566を記録し6番手を記録。三人の合算タイムでは総合3番手を獲得し、2列目からのスタートを獲得した。

◆Campionato Italiano GT Endurance – Vallelunga round 3 – Qualifiche


◆【CIGT】イタリアGTエンデュランスカップ 第3戦 ヴァレルンガ 予選 【公認】ミラーライブ配信!

■Race:4th

 28000人もの観客を迎えた決勝日。2時間の決勝では前出の通り新品タイヤを最終戦へ持ち越すため、Q1でミケーレ選手が使用した新品タイヤを引き継ぐ形でスタート。根本はスタートで前を行くアントネッリ・モータースポーツのメルセデスをオーバーテイクすべく果敢にアタックを試みたが、ターボによる強力な低速トルクに後れを取りポジションをキープするにとどまる。その後しばらくは全車連なって走行を続ける“トレイン状態”が続いた。

 新品タイヤを投入する他車の猛攻を上手くかわしつつ順調にペースを上げていった根本だったが、メルセデスに攻撃を仕掛けるまではいかず。最初のスティントということもあり、リスクよりも安定して速いラップタイムを刻むことに専念した。一時は周回遅れのマシン処理の関係でメルセデスとギャップが2.5秒ほど開いてしまうが、翌周にはファステストラップを叩き出し猛追。あと一歩でオーバーテイクが見られるかというところで、第2スティントを担当したミケーレ選手へとバトンを引き継ぐこととなった。

 イタリアGTではサクセスハンディキャップとして過去の戦績に応じてピットストップ時にタイムペナルティが課せられる。開幕戦ペルグサで2位(+15秒)、前戦ムジェロで優勝(+20秒)を獲得した19号車は計+35秒もの静止時間が追加され、これは計2回のピットストップでそれぞれ+17.5秒ずつ消化する必要がある。

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 1回目のピットストップで順位をひとつ落とした19号車だったが、ニュータイヤを履くミケーレ選手がすぐに17号車をパス、今大会で圧倒的なストレートスピードを見せる55号車ホンダのオーバーテイクには時間がかかったものの、41周目の第3コーナーで無事2位に躍り出た。

52周目に2度目のピットストップを実施しリベラティ選手へ交代すると、再びサクセスハンディキャップによって落とした順位を取り戻すべく猛追を開始する。迎えた60周目、接触により発生したストップ車両の回収のためにセーフティーカーが出動。これまで開いていたトップそして2番手との差が無くなり大チャンスかと思われたが、2番手とリベラティ選手の間にいたカップクラスのドライバーが再スタート時の最終コーナーでリベラティ選手を譲ろうと減速。しかしレギュレーション上、フィニッシュラインまではオーバーテイクができないため、ここで大きく前走車と差が開いてしまい、実質的に優勝のチャンスを失ってしまうことになった。

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 3位表彰台は十分に獲得可能だったが、3位でレースを終えてしまうと次戦モンツァではハンディキャップとしては上限の+40秒を抱えてレースに挑むことになってしまい、実質的に優勝のチャンスを失うことになる。そのため、残り2周時点で5番手を走行していた6号車へ3位を譲り、19号車は4位、63号車は5位を獲得。これで19号車は全タイヤが新品、そしてハンディキャップも+15秒のみという、チャンピオンシップ獲得に向け大手を掛けた状態で最終戦モンツァへ向かうこととなった。

◆Campionato Italiano GT Endurance – Vallleunga round 3 – Gara


◆イタリアGTエンデュランスカップ 第3戦 ヴァレルンガ 決勝 【公認】ミラーライブ配信!

■根本悠生 コメント

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「レースウィークに入る前から、チャンピオンシップ獲得に向けどんな戦略が必要なのかはチームやランボルギーニとミーティングをしており、今大会で優勝すればほぼ確定、もしくは4位を獲得して最終戦モンツァで必ず勝つという状況でした。ただ今大会はバリチェロとフィジケラという元F1ドライバーコンビによる参戦があり、初参戦のため新品タイヤが1セット我々より多く、さらにハンディキャップも無しという状況。これらを考慮すると優勝のチャンスは限りなく0に近いだろうという判断から、基本的には4位獲得を目指して戦う戦略を取りました」

「メーカー単位でいうと開幕から2連勝を飾っていることもあり、実際には苦しいBoPの中で戦っているにも関わらず改善がされないという状況。そんな中で更に新品タイヤをモンツァ戦へ残すというまるで追加BoPのような戦略を取ったのですが、そういった環境の中でも最善を尽くしチャンスがあれば勝ちに行くというハングリー精神を忘れずに力強く戦えたのではないかなと思います」

「主なチャンピオンシップ上のライバルは兄弟車である63号車と55号車ホンダとなります。我々19号車と同じハンディキャップ(+15秒)という同条件で戦うことになります。勝てばチャンピオン獲得というシンプルな戦いになります。2020年のスプリントに続き、エンデュランスでもチャンピオンの称号を獲得し、ファクトリードライバーという大きな夢を実現できるよう全力で戦います。引き続き応援宜しくお願い致します」

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REPORT PDF
日:https://www.yukinemoto.com/report_/pdf/BDL-PR-220920.pdf
英:https://www.yukinemoto.com/en/report/pdf/220920-VSR-CIGTE-Rd3.pdf

本件に関するお問い合わせはinfo@borderless-motorsports.comまで

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