Campionato Italiano Gran Turismo Endurance Rd.1 Pergusa

Yuki Nemoto
Campionato Italiano Gran Turismo Endurance
Rd.1 Pergusa Race Report

Photo by Fotospeedy

■Introduction

 5月14~15日、イタリアGT選手権・エンデュランスカップ(CIGTE)の2022年シーズン開幕ラウンドとなる第1戦ペルグーサが、イタリア南部、シチリア島中央部にあるオートドローモ・ディ・ペルグーサで開催された。

 CIGTEはFIA-GT3規格の車両によって争われるGT3クラスとランボルギーニ・スーパートロフェオ等のカップカーによるGTCUPクラスによる2クラス混合で行われるレースであり、根本悠生にとってはスピードだけではなく、下位クラスの処理能力なども求められる選手権となっている。

 ランボルギーニが展開する若手ドライバー育成プロジェクト『ランボルギーニ GT3 ジュニア・プログラム』のメンバーである根本悠生は、ランボルギーニの育成プログラムの一角を担うイタリアのヴィンツェンツォ・ソスピリ・レーシング(VSR)からCIGTEに参戦。

 ファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ・エンデュランスカップ(GTWCE)でもパートナーを組むミケーレ・ベレッタに加え、新たにエドアルド・リベラティをパートナー迎え、19号車ランボルギーニ・ウラカン GT3 Evoのステアリングを握り、10台がエントリーするGT3クラスに挑んだ。  当選手権への参戦は、ランボルギーニのモータースポーツ部門『スクアドラ・コルセ』からの直々にオファーであり、シリーズチャンピオン獲得という使命を受けての参戦となる。そのため、2020年シーズンにイタリアGT選手権・スプリントカップ(CIGTS)のチャンピオンに輝いた根本悠生にとっては、GTWCE同様、今後のステップアップを果たす意味でも非常に重要な選手権のひとつとなっている。

■Qualify:1st

 イタリア西南、地中海に位置するシチリア島のサーキットということもあり、気温は25度と本土よりもわずかながら高め。さらに好天に恵まれたことで路面温度は40度を超えるコンディションの中、決勝のスターティンググリッドを決する公式予選が行われた。CIGTEの公式予選はでは3名のドライバーがそれぞれアタックし、3名の記録したベストタイムの合計で決勝のスターティンググリッドを決するフォーマットとなる。

 根本悠生はQ1を担当。GTCUPクラスのトラフィックを処理しながらアタックを続け、最終アタックで1分35秒531を記録しトップタイムを記録。2位を0.480秒引き離す大差をつけた。その後、Q2を担当したベレッタはトップから0.176秒差の2番手、Q3ではリベラティが0.505秒差の3番手につけた。

 開幕戦である今回は6セット(24本)とドライタイヤの持ち込みセット数に制限があることから、新品タイヤを温存するべく、特にQ3では、ユーズドタイヤでの出走を敢行。リベラティの見事な走りもあり、合算タイムでは2位を1秒近く引き離す大差でポールポジションを獲得した。

■Race:2nd

Photo by Borderless

 2時間の決勝では、リベラティ、ベレッタ、根本悠生の順で挑む作戦に出た19号車。気温26度、路面温度44度と予選とほぼ変わらないコンディションの中で迎えたスタートでは、リベラティが見事なスタートダッシュを決め、1コーナーのホールショットを決めた。2番手には姉妹車となるVSRの63号車のカロル・バッシュがつけていたが、リベラティの好スタートに一歩遅れを取り3番手へ後退。代わりに2番手に浮上した55号車ホンダNSX GT3の背後につき、猛烈にプッシュを続けた。

 スタートから10分が経過したところで17号車メルセデス AMG GT3がシューマッハ・シケインのイン側に設置されたタイヤバリアにヒット。このクラッシュによりコース上にデブリが散乱し、フル・コース・イエロー(FCY)が導入されマーシャルによる清掃作業が行われた。当レースではFCYが導入された後はセーフティーカー(SC)への切り替えが行われ、全車隊列が整ってからのリスタートを迎えるフォーマットとなる。

 FCY導入から約10分後、レースは残り100分を残して再開を迎えた。首位19号車リベラティは完璧なリスタートを決め、後続を引き離しにかかる。一方3番手につける63号車はこのリスタートをチャンスとみなし、NSXをオーバーテイク。これで、VSRの2台のランボルギーニによる1-2体制が形成された。19号車リベラティと63号車バッシュはそれぞれ得意なセクターが異なり、つかず離れずの一進一退を繰り返しながらの走行を続ける。

Photo by Borderless

 最初のピットウィンドウがオープンになると、25周目にリベラティがピットイン。セカンドスティントを担当するベレッタへ交代した。3周後に63号車がピットインしドライバー交代を行うと、僅差ながら19号車の前でコースへ復帰。トップ2台が入れ替わる中でセカンドスティント序盤を迎えた。

 GTWCEでは同じ563号車をシェアするチームメイトでもある19号車ベレッタと63号車ベンジャミン・ハイツだが、コース上で激しいバトルを繰り広げる展開に。35周目の最終シケインでハイツが僅かに挙動を乱しアウト側へ膨らむと、ベレッタはすかさずクロスラインでハイツの横に並ぶ。並走状態でストレートを通過すると、1コーナーのブレーキング勝負でベレッタが前におどり出た。

 レースも残り30分となったところでいよいよ根本悠生がコースイン。19号車根本悠生はニュータイヤで走行を始めると、コースイン4周目には1分34秒976という週末でのベストタイムを記録。ドライバー交代のタイミングで再び63号車の前に出ることに成功していた55号車NSXを引き離し、一時9秒差まで開くことに成功。レースの残り時間も少なくなっていたことから、レースペースをコントロールする作戦に切り替えた。

Photo by Borderless

 しかし、残り10周というところでトップの根本悠生が突如ペースダウン。右フロントタイヤの空気圧が徐々に抜けてしまうスローパンクチャー現象に襲われていた。ピットインしてタイヤ交換をするか、最後まで走り切るかの二択を迫られると、チームと根本悠生はステイアウトし最後まで走り切ることを選択。ピットインすると表彰台をその時点で諦めることになることから、フロントタイヤをマネジメントしながら戦うことを選んだ。

 9秒あった差もみるみるうちに縮まると、残り4周で上位3台によるトップ争いに発展。19号車-55号車-63号車というオーダーでコントロールラインを通過すると、ここから根本はトラブルを抱えたクルマで、チームへ1-2フィニッシュをもたらすべくレースをコントロールする。NSXを抑え63号車のマッティア・ミケロットにオーバーテイクのチャンスを与え、残り3周で19号車-63号車の1-2体制を形成。翌周には安全のため63号車を前に行かせるチームオーダーを発するも、ミケロットがブレーキングをミスしてしまい再び3位へ後退してしまう。

 そして迎えた最終ラップ、根本悠生はなんとかトップを死守しようと持てる最大限のペースで走行するも、この時点では既に右フロントタイヤはほぼパンク状態となってしまっており、最終シケインのブレーキングで63号車にインを突かれ2番手に後退。あわやNSXにも順位を譲りかねない状態だったが、シケインをカット気味にコースアウトしつつも2位を死守。一時はリタイヤも検討されるほどのトラブルを抱えながらもチームへ1-2フィニッシュをもたらした。

YouTubeはこちら
Campionato Italiano GT Endurance – Pergusa – Gara

■根本悠生 コメント

Photo by Borderless

「まず始めに、今季ファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ・エンデュランスカップのみならず、イタリアGT選手権・エンデュランスカップへの参戦を実現するにあたりご協力頂きました、FAV HOTEL様をはじめとするスポンサー様、そしてファンの皆様、そしてランボルギーニ・スクアドラ・コルセに感謝申し上げます。自分にとって初めて1年でふたつの選手権にフル参戦できることは、パフォーマンス面の強化という側面から見てもとても重要なことだったのでとても嬉しいです。特にこのイタリアGTはランボルギーニ・スクアドラ・コルセからチャンピオン獲得という至上命令を受けての参戦のため、これまでとは違った心持ちで自分の仕事に取り組むことができていると感じています」

「予選ではトラフィックのマネジメント、タイヤのグリップを最大限まで引き出すこと、そしてリスク管理をしつつタイムを削っていくこと、という3つの点で納得できる仕事ができたと感じています。もちろん、イタリアGTは主戦場としているGTWCEほどハイレベルな選手権ではありませんが、それでもイタリアの強豪が参戦する中で、合算では2位と1秒近く差をつけてポールポジションを獲得できたことはとても良かったと思います」

「レースではリベラティ、ベレッタとともに一時はひやっとするシーンがあったものの、ペースとしては非常に良く、クルマを引き継いだ時点で4秒ほど2位とマージンがありましたし、序盤は自分の調子も良く一時は9秒以上まで2番手に差を広げることができたことも、今後に向けての自信になりました」

「ただ、タイヤトラブルにより勝利を失ってしまったことは、当然フラストレーションが溜まる結果ですし、本当に悔しいです。しかし、細かなトラブルをいくつも抱えながらも、VSRの1-2フィニッシュを持ち帰ることができたことを喜びたいと思います。監督のヴィンチェンツォ・ソスピリや、ランボルギーニ・スクアドラ・コルセのボス、ジョルジオ・サンナも僕の仕事を絶賛してくれたので、今は嬉しく、正直ほっとしています。速く走るだけでなく、状況を判断してゴールまでクルマを持ち帰るというプロとしての仕事ができたのではないかと思います」

「次戦は僕の好きなサーキットの一つでもあるムジェロ・サーキットにて開催されます。今回取りこぼした優勝を持ち帰られるよう全力で戦いますので、引き続き応援よろしくお願いいたします」

REPORT PDF
日:https://www.yukinemoto.com/report_/pdf/BDL-PR-220515.pdf
英:https://www.yukinemoto.com/en/report/pdf/VSR-2022-CIGTE-Pergusa.pdf

本件に関するお問い合わせはinfo@borderless-motorsports.comまで

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